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自分で行う自己特徴判断は、第三者からみたところの三倍の評価がされていると いう。誰かが言っていた。(その誰か、というのがどうしても思い出せない) たとえば、わたしは怖がりですと言ったところで、(全くとは言わないが)当てに なんてならないということだ。 人が考えている取り留めのないことを、わたしも考えること、あるいは考えよう とすることがとてもすきだ。大体は把握出来るようになってきたような気がする。(そしてこれも他人からみると過大評価しているということになるのかもしれない) そんなことを考えていると、次元はとても控え目な人間なのだということが解った。あまり多くを望まない。五ェ門もそうだけれど。 「おい」 次元から分けてもらったグラス一杯のコニャックを眺めながらそんなことを考え ていたら突如として次元がわたしを呼んだので、わたしは少し驚いて、一瞬辺り を両目でちらりと見やってから次元を見た。 「、おめぇもう酔ったか」 「グラス一杯で?まさか!」 つまらない考え事をしてただけ、そう言ってわたしはグラスを一回しして氷を鳴 らしてから、それを口に含んだ。すごく美味しい。 「ねぇ次元」 「なんだ」 次元は足を組み直した。足長いな。細いし。日本人じゃないみたい。本当に日本 国籍なのか疑わしい。すごく。 …それにしてもわたしはあまりにも次元のことを知らなさすぎるみたいだった。 「おい、?」 大丈夫か?(氷がカランと音を起てる)と次元が言った。 「え、あぁ、次元今お金持ってる?」 「まあ林檎百個買えるくらいの金はあるやな」 「はは!じゃ、一緒に買い物行こっか」 百個の林檎を買いに、ね。と笑って言うと次元はいつも通り帽子を押さえて笑っ た。こいつはとても素敵に笑うな、と意識の端で思った。 急に立ち上がると眩暈が起こったけれど、次元が黙って支えてくれたので倒れる ことはなかった。立ち眩みの理由もあるが、実を言うとわたしはお酒が弱い。 目を擦って、彼の胸に手をついて離れる。それから静かに、次元がポケットに手 を突っ込んでしまう前に、出来るだけ自然に彼の手に指を絡めた。嫌がるかとお もったが今日は機嫌がいいらしく、避けることはしなかった。 今日の昼ご飯はパスタにしようか。トマトとバジリコ、そして勿論アルデンテ。
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